白色申告の帳簿の付け方|国税庁の様式例と簡易な書き方

白色申告の帳簿の付け方

白色申告の帳簿は、売上・雑収入等・仕入・経費の4つに分けて、日付・相手先・金額を書く単式の帳簿で足ります。国税庁が配る「帳簿の様式例」は、PDFとExcelのどちらも無料です。納品書や領収書で中身を確かめられる取引は、日々の合計だけを書く簡易な方法も認められています。

この記事でわかること

  • 白色申告で帳簿が必要な人と、書く項目
  • 国税庁の帳簿の様式例(PDF・Excel)と、その他の付け方
  • 日々の合計だけでよい簡易な方法の範囲
  • フリーランスの記入例(売上・経費)
  • 保存期間(7年・5年)の数え方と、帳簿がない場合の加算税の加重
  • 確定申告書に書く記帳方法の区分番号

公的情報源: 国税庁 個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について/国税庁 帳簿の記帳のしかた(事業所得者用)/国税庁 No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度(2026年10月閲覧)

この記事の要点

  • 帳簿が必要なのは事業所得・不動産所得・山林所得がある白色申告者全員。申告が要らない人も含む
  • 書くのは取引の年月日・相手方・金額。経費は給料賃金・地代家賃などの区分ごとに
  • 国税庁の様式例はExcelで無料。会計ソフト・手書き・表計算でも構わない
  • 帳簿の保存は7年、領収書などの書類は5年。翌年3月15日の翌日から数える
  • 売上の帳簿がない・不十分だと、調査で見つかった申告漏れの加算税が5%か10%重くなる

目次

白色申告の帳簿が必要な人と、書く項目

白色申告でも、事業所得・不動産所得・山林所得を生む業務をしている人は、帳簿を付けて保存する義務があります。所得税の申告が必要ない人も対象です(国税庁 記帳・帳簿等の保存について)。

会社員の副業を雑所得で申告している人は、記帳の義務の対象外です。ただし、前々年の業務に係る雑所得の収入が300万円を超える人は、請求書・領収書など現金預金取引等関係書類を5年間保存する必要があります。

白色申告で帳簿が要るかの判定

  • どの所得で申告しているか
    • 事業所得・不動産所得・山林所得帳簿を付けて保存する。所得税の申告が要らない人も対象
    • 会社員の副業の雑所得記帳の義務の対象外
    • 前々年の業務の雑所得の収入が300万円超請求書・領収書などの現金預金取引等関係書類を5年保存

図:帳簿の義務は申告する所得の種類で決まる

帳簿に書く項目(帳簿の記帳のしかた・令和8年5月1日現在)

区分書く項目
売上取引の年月日・相手方の名称・金額・日々の売上の合計
雑収入等取引の年月日・事由と相手方の名称・金額
仕入取引の年月日・相手方の名称・金額
経費給料賃金・外注工賃・減価償却費・貸倒金・地代家賃・利子割引料・その他の経費に分け、年月日・事由と支払先・金額

青色申告のような複式簿記は求められていません。1つの取引を1行で書く、家計簿に近い形(単式)で足ります。区分を収支内訳書の欄に合わせておくと、年末の集計がそのまま申告書類の数字になります。

消費税の課税事業者になっている人は、これに加えて軽減税率の対象の区分や、インボイス発行事業者からの仕入れかどうかの区分が必要です(簡易課税や2割特例の人は、仕入れの区分は不要)。インボイスの登録で課税事業者になった人はインボイス制度の個人事業主のやり方も確認してください。

国税庁の帳簿の様式例(PDF・Excel)と付け方の選び方

国税庁は「帳簿の様式例(事業所得者用)」を、PDFとExcelの両方で配布しています。「白色申告 帳簿 テンプレート 国税庁」で探している様式はこれです。

国税庁が配布している資料(2026年10月時点)

資料形式中身
帳簿の様式例(事業所得者用)PDF1行に月日・摘要・売上・雑収入等・仕入・経費(給料賃金〜雑費の列)を書く様式。印刷して手書きで使う
帳簿の様式例(事業所得者用)ExcelPDFと同じ列の様式を、表計算ソフトで入力できる
帳簿の記帳のしかた(事業所得者用)PDF記載例・簡易な方法・消費税の記帳の説明

不動産所得用・農業所得用の様式例も同じページにあります。経費の列は、租税公課・水道光熱費・旅費交通費・通信費・修繕費・消耗品費・雑費などに分かれています。

付け方の選び方

方法向いている人年末の手間
手書き(様式例・市販の帳簿)取引が月に数件で、現金が中心科目ごとに電卓で集計する
Excel・スプレッドシート(様式例)取引が月に数十件まで関数で集計できる
会計ソフト口座・カードの明細が多い取込みと科目の確認が中心。収支内訳書まで作れる

国税庁のパンフレットも、会計ソフトを使った記帳を勧めています。日々の取引を入力するだけで記帳できるからです。白色申告から青色申告に移る予定がある人は、最初から会計ソフトで付けておくと移行が楽になります。両者の違いをまとめたのが青色申告のメリット・デメリットです。

日々の合計だけを書く「簡易な方法」の範囲

白色申告の人には、簡易な方法による記帳が認められています。納品書や請求書、領収書の控えで中身を確かめられる取引は、日々の合計だけをまとめて書いてよいという扱いです。

簡易な方法で書ける取引(帳簿の記帳のしかた p9)

区分簡易な方法
売上小売・飲食などの現金売上は日々の合計だけ/納品書控などで確認できる取引は日々の合計だけ/掛売上は代金を受け取った時に書いてよい(年末に売掛金の残高を記載)
雑収入等少額なものは事由ごとに日々の合計だけ/入金した時に書いてよい(年末に未収額・前受額を記載)
仕入少額な現金仕入は日々の合計だけ/掛仕入は支払った時に書いてよい(年末に買掛金の残高を記載)
経費少額な費用は項目ごとに日々の合計だけ/出金した時に書いてよい(年末に未払額・前払額を記載)

フリーランスの売上は、多くが請求書を出してから入金される掛売上です。入金した日に売上として書く方法でも構いません。そのかわり、12月31日時点でまだ入金されていない売上(売掛金)の残高は、年末に書き足す必要があります。12月分の報酬が1月に入る人は、ここが漏れやすい所です。

入金した日に売上を書く場合の年末の手当て

  • 12月に納品し、請求書を出した報酬が1月に入金される
  • 1〜12月入金した日に売上を記帳請求書の控えで中身を確かめられるので、入金時の記帳でよい
  • 12月31日未入金の売上(売掛金)を書き足す12月に請求した分は今年の売上。年末の残高として記載する
  • 翌年1月入金は前年の売掛金の回収新しい年の売上に二重に数えない

経費も同じ。12月に使って1月に払う分は、年末に未払額として書く

図:入金基準で書いても、年末の売掛金と未払額で今年の分にそろえる

白色申告の帳簿の書き方の例(Webライターの1か月)

個人の文筆業で、報酬はすべて振込、経費の一部を事業用カードで払う例です(数字は説明用)。報酬から源泉徴収された税額も書いておくと、確定申告の時に集計し直さずに済みます。

売上の記入例(2026年11月)

月日相手方摘要金額源泉徴収税額
11/10A出版10月分原稿料(請求書No.31)110,000円11,231円
11/25Bメディア記事4本(請求書No.32)66,000円6,738円
11/30C社取材記事(請求書No.33)44,000円4,492円
11月計220,000円22,461円

売上の欄は、源泉徴収される前の金額が正解です。入金額(源泉徴収後)で書くと、売上も源泉徴収税額も小さく出て、確定申告で取り戻せる税金が減ります。

経費の記入例(2026年11月)

月日区分支払先・事由金額
11/5通信費携帯電話料金(事業分50%)4,400円
11/12旅費交通費取材の電車代1,320円
11/18新聞図書費資料用の書籍2冊3,960円
11/27地代家賃自宅家賃(事業分30%)30,000円
11/30消耗品費プリンターのインク5,480円

家賃や通信費のように私用と共用の経費は、按分した後の金額を書きます。按分の割合を決めた根拠(面積・使用時間など)は、帳簿とは別のメモに残しておくと、聞かれたときに説明が楽です。割合の決め方は自宅家賃の按分とスマホ代の按分の記事にあります。

10万円以上のパソコンなどは、買った月に全額を経費の欄へ書かず、減価償却で数年に分けるのが原則です。金額ごとの扱いはパソコン代の経費の記事で確認してください。

帳簿と書類の保存期間|7年と5年の数え方

白色申告の帳簿と書類の保存期間は、種類によって7年と5年に分かれます(No.2080)。

白色申告の保存期間(No.2080・帳簿の記帳のしかた p2)

保存が必要なもの保存期間
収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿)7年
業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿)5年
決算に関して作成した棚卸表その他の書類5年
請求書・納品書・送り状・領収書などの書類5年

保存期間は、帳簿は閉鎖した日の属する年の翌年3月15日の翌日から、書類は作成・受領した年の翌年3月15日の翌日から数えます(帳簿の記帳のしかた p2)。2026年分の帳簿なら、2027年3月16日から7年間です。

白色申告の保存期間(7年と5年)

7年
対象
収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿)
課税事業者
仕入税額控除のための請求書、交付したインボイスの写し
数え始め
帳簿を閉鎖した年の翌年3月15日の翌日
5年
対象
法定帳簿以外の任意帳簿、棚卸表など決算の書類
書類
請求書・納品書・送り状・領収書など
数え始め
作成・受領した年の翌年3月15日の翌日

図:2026年分の帳簿なら2027年3月16日から数える

消費税の課税事業者が仕入税額控除のために保存する請求書や、インボイスとして交付した写しは、7年間の保存が必要です。メールやPDFで受け取った請求書・領収書は、電子取引データとして電子のまま保存します。白色申告の人も対象で、詳しい手順は電子帳簿保存法の個人事業主の対応のとおりです。

帳簿がないとどうなる?加算税の加重と申告書の区分

帳簿を付けていなくても、確定申告書は出せます。ただし、令和5年分の確定申告に対する修正申告などから、加算税の扱いが変わりました。

売上の帳簿がない・不十分な場合の加算税の加重

税務調査で、売上に関する帳簿を保存していなかったことや、記載が不十分だったことが分かった場合です。帳簿に書くべきだった申告漏れについて、過少申告加算税・無申告加算税の割合が5%か10%加重されます(No.2080)。帳簿を付けていない年は、その分だけ申告の誤りの代償が重くなるということです。

確定申告書第一表の「区分」に書く番号

令和7年分の確定申告書では、第一表の事業所得の収入金額の欄(㋐)の「区分」に、帳簿の付け方を番号で書きます(令和7年分 確定申告の手引き)。

番号帳簿の状況白色申告での目安
2会計ソフト等の電子計算機を使って記帳会計ソフト・表計算で付けている
4複式簿記以外の簡易な方法で記帳手書きの簡易帳簿
5いずれにも当てはまらない(記帳の仕方が分からない場合を含む)帳簿を付けていない

番号1(優良な電子帳簿)と3(複式簿記)は、主に青色申告の人が当てはまる区分です。年末の帳簿の集計から申告書類を作る手順は、収支内訳書の欄に合わせて科目を締めるところから始まります。複式簿記との違いを知りたい人向けの記事が正規の簿記の原則です。

よくある質問

Q1. 白色申告の帳簿のテンプレートは国税庁にありますか?

あります。国税庁の「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」のページで、「帳簿の様式例(事業所得者用)」をPDFとExcelで配布しています。記載例が載っているのは「帳簿の記帳のしかた(事業所得者用)」です。

Q2. 白色申告の帳簿はエクセルや手書きでもいいですか?

構いません。様式の決まりはなく、年月日・相手方・金額が整然と明瞭に書かれていれば、手書き・Excel・スプレッドシート・会計ソフトのどれでも帳簿になります。

Q3. 白色申告の帳簿は確定申告で提出しますか?

提出しません。確定申告で出すのは確定申告書と収支内訳書です。帳簿は手元に保存し、税務署から求められたときに見せます。

Q4. 白色申告の帳簿の保存期間はいつまでですか?

収入と経費を書いた帳簿は7年、領収書や請求書などの書類は5年です。翌年3月15日の翌日から数えるので、2026年分の帳簿は2027年3月16日から7年間保存します。

Q5. 帳簿を付けていなかった年はどうすればいいですか?

通帳・カード明細・請求書の控え・領収書から、売上と経費を月ごとに書き起こしてください。売上の帳簿がない状態で調査を受けると、申告漏れの加算税が5%か10%加重されます。確定申告書の区分には、付けた方法に合う番号を書きます。

Q6. 副業の雑所得でも帳簿は必要ですか?

雑所得には事業所得のような記帳の義務はありません。ただし、前々年の業務に係る雑所得の収入が300万円を超える人は、請求書・領収書など現金預金取引等関係書類を5年間保存する必要があります。

まとめ

白色申告の帳簿は、4つの区分に日付・相手方・金額を書く単式の帳簿です。国税庁の様式例を使えば、今日から付け始められます。

この記事のまとめ

  • 帳簿が必要なのは事業所得などがある白色申告者全員。申告不要の人も含む
  • 区分は売上・雑収入等・仕入・経費。経費は収支内訳書の科目に合わせる
  • 国税庁の様式例はPDF・Excelで無料
  • 確認できる取引は日々の合計だけでよい。入金時に書くなら年末の売掛金を書き足す
  • 保存は帳簿7年・書類5年(翌年3月16日から)
  • 帳簿がないと加算税が5%・10%加重。申告書の区分は簡易帳簿なら4

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免責事項

※本記事は2026年10月時点の国税庁の公開資料(帳簿の記帳のしかた 令和8年5月1日現在版ほか)をもとにした整理で、記入例の数字は説明用です。筆者は税理士ではなく、フリーランスとして自分の申告を行ってきた一当事者です。個別の税務判断は所轄の税務署または税理士など有資格者へご確認ください。


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この記事を書いた人

会社員をしながら副業でWebライターを始め、開業届の提出から青色申告への切り替えまで、独学でやり切ったAokiです。今は専業のフリーランスとして4年目になります。副業の確定申告に初めて向き合った夜、青色申告の本を読んでも税理士のブログを見ても、「副業会社員のリアル」がどこにも書かれていなくて、夜中に頭を抱えました。

経費は何が認められるのか、住民税をどう設定すれば会社に知られにくいのか、仕訳は結局何を入力すればいいのか。全部、自分で何か月もかけて調べました。当時いちばん欲しかったのは、同じ立場の人がどう乗り越えたかの手順書です。このサイトでは、副業ならではの経費計上やfreeeとマネーフォワードの使い分けを、専門用語をかみ砕いて書いています。最終的な税務判断は、顧問税理士にご確認ください。

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