個人事業主の車購入は経費になる?減価償却の計算例

個人事業主の車購入は経費になる?

個人事業主が車を購入した費用は、買った年に全額は経費になりません。耐用年数(普通車6年・軽自動車4年)で分けた減価償却費に、事業で使う割合をかけた額が毎年の経費です。4年落ちの中古車は耐用年数2年ですが、定額法なら初年度に落ちるのは半分まで。初年度に全額近く落とすには定率法の届出が要ります。

この記事でわかること

  • 車の購入費が経費になる範囲と名義の条件(生計を一にする家族名義の車の扱い)
  • 新車の耐用年数と、取得価額に入れるもの・入れないもの(2026年4月に廃止された環境性能割を含む)
  • 300万円の新車を7月に買ったときの年ごとの減価償却費
  • 中古車の簡便法の耐用年数早見表と、4年落ちを買った年に落とせる額(定額法と定率法・取得月別)
  • ローン・残価設定ローン・リースで手に入れた車の経費と仕訳
  • 私用で買った車を事業用に切り替えたときの未償却残高の計算
  • 車を売る・下取りに出す・廃車にしたときの税金の区分

公的情報源: 国税庁タックスアンサー No.2100 減価償却のあらまし/主な減価償却資産の耐用年数表/No.2106 定額法と定率法による減価償却/No.2108 中古資産を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却/国税庁 A1-18 減価償却資産の償却方法の届出手続/No.3152 譲渡所得の計算のしかた(総合課税)/減価償却資産の耐用年数等に関する省令(e-Gov)/所得税法施行令(e-Gov)(2026年10月閲覧。改正されるため最新は各公式でご確認ください)

車を固定資産台帳に「取得日・取得価額・耐用年数・事業割合」で登録すれば、月割の償却費と私用分の切り分けが毎年自動で入ります。中古車の耐用年数を入れ替えるのも1か所の修正で済みます。

この記事の要点

  • 車両本体は減価償却。普通車6年・軽自動車4年・貨物車5年で分ける(耐用年数表)
  • 兼用の車は償却費を出してから事業割合をかける。判定は取得価額そのもので行う
  • 中古車は簡便法で耐用年数が縮み、最短2年。端数は切り捨て(耐用年数省令3条)
  • 個人の法定の償却方法は定額法。4年落ちでも初年度は最大で半分。定率法は確定申告期限までの届出が条件
  • ローンの元本は経費にならない。利息だけ按分して経費。リースは税法上の売買としてリース期間で償却
  • 事業に使っていた車を売った利益は譲渡所得(事業所得に入れない)

目次

個人事業主が車を購入したときに経費になる範囲

減価償却とは、何年も使う資産の購入代金を、使う年数に分けて経費にする計算のことです。車はこの減価償却資産に当たるので、買った年に代金を一度に経費にはできません(国税庁 No.2100)。

車の使い方と経費になる範囲(2026年10月時点)

車の使い方経費になる範囲根拠
仕事だけに使う減価償却費の全額所得税法37条・49条
仕事と私用で兼用減価償却費 × 事業で使う割合所得税法45条・施行令96条
私用だけ(通勤・買い物)経費にならない所得税法45条

兼用の車は、走行距離や使う日数で事業割合を決めます。割合の決め方と記録の残し方は、自動車税や車検代と共通です。自動車税・車検費用の記事で走行距離・日数・時間の3基準を表にしています。

家族名義の車は「生計を一にしているか」で分かれる

車検証の所有者が本人でなくても、経費にできる場合があります。生計を一にする配偶者や親の車を無償で事業に使っているときは、その家族が持ち主として計算する減価償却費などを、事業の必要経費に入れられます(所得税基本通達56-1・所得税法56条)。

この扱いは「事業所得」を前提にした規定です。会社員の副業で雑所得として申告している人には当てはまりません。副業で使う車は、本人名義で買っておくのが説明しやすい形です。別生計の家族や知人の車を借りる場合は、払った使用料を経費にする方法になります。

買った車の代金を経費にするまでの順番

  • 取得価額はいくらか(本体+付随費用。免税事業者は税込)
  • 耐用年数を決める新車は表の年数、中古車は簡便法普通車6年・軽4年・貨物5年。中古は最短2年
  • 償却方法を決める届出がなければ定額法定率法は確定申告期限までに届出(A1-18)
  • その年の償却費を出す年額 × 使った月数 ÷ 12買った月は1か月と数える(No.2106)
  • 事業割合をかける経費に入るのは仕事の分だけ残りは事業主貸。帳簿の残高は全額分減る

按分は最後。耐用年数と償却方法の判定に事業割合はかけない

図:車の購入代金は、取得価額→耐用年数→償却方法→月割→事業割合の順で経費の額が決まる

車の耐用年数と、取得価額で変わる処理の選び方

普通乗用車の法定耐用年数は6年、軽自動車(総排気量0.66リットル以下)は4年です。どの方法で経費にするかは、1台の取得価額で決まります。

車の法定耐用年数(一般用・国税庁の耐用年数表)

車の種類耐用年数定額法の償却率
普通乗用車(下の区分以外の自動車)6年0.167
軽自動車(総排気量0.66リットル以下)4年0.250
貨物自動車(ダンプ式以外)5年0.200
貨物自動車(ダンプ式)4年0.250
2輪・3輪自動車(バイク)3年0.334

出所は国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」、償却率は耐用年数省令の別表第八です。運送業・タクシー・教習所で使う車は別の年数になるので、表の「運送事業用」の行で確かめてください。

取得価額の4段階と使える処理(1台あたり・2026年10月時点)

取得価額白色申告青色申告
10万円未満買った年に全額同左
10万円以上20万円未満一括償却資産(3年で3分の1ずつ)一括償却資産か少額特例で全額
20万円以上40万円未満耐用年数で減価償却少額特例で全額
40万円以上耐用年数で減価償却同左

少額減価償却資産の特例は青色申告者だけの制度です。2026年4月1日以後に取得した10万円以上40万円未満の資産は、買った年に全額を経費にできます。3月31日以前の取得は30万円未満が上限で、年合計300万円まで、取得の期限は2029年(令和11年)3月31日です(No.2100 注3)。

40万円未満で買える車は、年式の古い軽自動車やバイクに限られます。特例の上限が開業した年は月割になる点は、パソコン代の経費の記事で計算しています。

取得価額に入れるもの・入れないもの

取得価額は、車両本体の代金に、購入のためにかかった費用と、業務に使い始めるために直接かかった費用を足した額です(所得税法施行令126条)。オプション・付属品・納車費用は取得価額に入ります。

購入時に払うもの扱い根拠・注意
車両本体・オプション・納車費用取得価額に入れて償却施行令126条
検査登録・車庫証明など登録のための費用取得価額か、その年の経費かを選べる所得税基本通達49-3
自動車税(月割)・自動車重量税その年の経費(租税公課)No.2215
自賠責保険料その年の経費(保険料)保険期間に対応させる
リサイクル料金の預託金資産(預託金)。廃車時に費用払った時点では経費にしない
環境性能割2026年4月1日以後の登録は課税なし総務省資料で廃止を確認

自動車の登録費用は「業務の用に供するについて登録を要する資産」として、取得価額に入れないことが認められています(所得税基本通達49-3)。登録費用をその年の経費にすれば、償却を待たずに落とせる分が増えます。

環境性能割は、総務省「地方税法等の一部を改正する法律の概要」のとおり令和8年4月1日に廃止されました。2026年3月以前の見積書や記事には残っているので、今年の購入なら明細に載っていないか見ておくと安心です。

消費税を取得価額に含めるかは経理方式で決まり、免税事業者は税込で判定します(No.2100 注5)。

新車を買った年の減価償却費の計算例

新車の償却費は「取得価額 × 定額法の償却率 × 使った月数 ÷ 12」で出します。年の途中で買った年は、使い始めた月から12月までの月数で月割します(国税庁 No.2106)。

計算例:普通乗用車300万円を7月10日に購入、事業割合60%(定額法・6年)

年その年の償却費経費になる額(60%)年末の未償却残高
1年目(7〜12月の6か月)3,000,000 × 0.167 × 6/12 = 250,500円150,300円2,749,500円
2〜6年目(各年)3,000,000 × 0.167 = 501,000円300,600円毎年501,000円ずつ減る
7年目残り244,500円から1円を残した244,499円146,699円1円

7月10日に買っても、7月は1か月と数えます。6年の償却が7暦年にまたがるのは、1年目が6か月分だからです。最後の年は帳簿に1円だけ残して償却を終えます(所得税法施行令134条)。

私用分の40%は経費になりませんが、未償却残高は償却費の全額分(60%分だけでなく100%分)減ります。私用分を残高に戻して翌年に回すことはできません。青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄に事業専用割合60と書けば、必要経費算入額は自動で60%分になります。

購入月で1年目の経費がどれだけ変わるか(300万円・事業割合100%)

使い始めた月1年目の月数1年目の償却費
1月12か月501,000円
4月9か月375,750円
7月6か月250,500円
10月3か月125,250円
12月1か月41,750円

年末に買えば節税になると考える人がいますが、12月に買った年に落ちるのは1か月分です。総額は変わらず、経費になる年が後ろにずれるだけです。

300万円の新車・7月購入・事業割合60%の6年間

帳簿上の償却費(100%分)

1年目:250,500円(6か月分)

2〜6年目:毎年501,000円

7年目:244,499円で1円を残して終了

経費になる額(60%分)

1年目:150,300円

2〜6年目:毎年300,600円

7年目:146,699円

私用分40%は経費にならないが、未償却残高は100%分ずつ減る

図:新車の償却費は帳簿上は全額で計算し、経費に入れる段階で事業割合をかける

取得日・取得価額・耐用年数・事業専用割合を固定資産台帳に入れておけば、1年目の月割も、7年目に1円を残す処理も自動で計算されます。私用分の事業主貸への切り出しも、決算書の「減価償却費の計算」欄への転記も、手で直す箇所はありません。個人事業主向けのプランを30日間試してから決められます。

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中古車の耐用年数と、4年落ちを買った年に落とせる額

中古車の耐用年数は、法定耐用年数から経過年数を引き、経過年数の20%を足して出します。これを簡便法と呼び、1年未満の端数は切り捨て、2年に満たなければ2年です(耐用年数省令3条1項2号・5項)。

簡便法の計算式

  • 法定耐用年数の一部を経過した車:(法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 20%
  • 法定耐用年数の全部を経過した車:法定耐用年数 × 20%
  • どちらも1年未満は切り捨て、2年未満は2年

経過年数は、車検証の「初度登録年月」から買った月までを数えます。国税庁の計算例(No.2108)も月数で計算し、切り捨ては最後に1回だけ行っています。

中古車の耐用年数 早見表(簡便法・経過年数は満年数)

経過年数普通車(法定6年)軽自動車(法定4年)
1年5.2 → 5年3.2 → 3年
2年4.4 → 4年2.4 → 2年
3年3.6 → 3年1.6 → 2年
4年2.8 → 2年0.8 → 2年
5年2.0 → 2年0.8 → 2年
6年以上1.2 → 2年0.8 → 2年

「4年落ちは3年」と切り上げて書いている記事もありますが、省令は切り捨てです。普通車の4年落ちは2年で償却します。軽自動車は2年落ちで、すでに最短の2年に届きます。

事業に使い始めるために、買った値段の50%を超える改造や修理(資本的支出)をした場合は、簡便法が使えません(同3条1項ただし書)。

4年落ちが「1年で落とせる」のは定率法を選んだときだけ

個人事業主の法定の償却方法は定額法です(所得税法施行令125条)。耐用年数2年の定額法の償却率は0.500なので、1月に買っても初年度に落ちるのは取得価額の半分までです。

耐用年数2年の定率法の償却率は1.000です(耐用年数省令 別表第十)。定率法を選んでいれば、1月に使い始めた年に取得価額から1円を残した全額を落とせます。

4年落ちの普通車200万円・事業割合100%の償却費(耐用年数2年)

償却方法・使い始めた月1年目2年目3年目
定額法・1月1,000,000円999,999円―
定額法・10月250,000円1,000,000円749,999円
定率法・1月1,999,999円――
定率法・10月500,000円1,499,999円―

総額はどれも1,999,999円で同じです。違うのは経費になる年だけなので、利益が大きく出る年に寄せたいときに意味がある方法です。売上が落ちた年に前倒ししても、所得税・住民税の差は小さくなります。

定率法に切り替える手続きと期限

状況手続き期限
初めて車(車両運搬具)を事業用に買った減価償却資産の償却方法の届出書買った年分の確定申告期限まで
開業した年に車を買った同上開業した年分の確定申告期限まで
すでに定額法で償却している車がある償却方法の変更承認申請書変更したい年の3月15日まで

届出の対象者と期限は国税庁 A1-18、変更の申請は国税庁 A1-22にあります。償却方法は資産の種類ごとに選ぶので、2台目の車を買った年に届出を出しても、1台目と同じ「車両運搬具」の区分なら変更の申請が必要です。変更の申請は、今の方法を採用してから原則3年を過ぎているかを見て審査されます(A1-22)。

4年落ちの普通車200万円を1月に買った場合

届出なし(定額法)
耐用年数
2年(簡便法・切り捨て)
償却率
0.500
1年目
1,000,000円
2年目
999,999円
届出あり(定率法)
耐用年数
2年(同じ)
償却率
1.000
1年目
1,999,999円
期限
買った年分の確定申告期限まで(A1-18)

総額は同じ。差は経費になる年だけ。兼用車はどちらも事業割合をかける

図:4年落ちの中古車は耐用年数2年だが、届出のない個人は定額法で2年に分かれ、初年度一括は定率法を選んだときに限られる

ローン・残価設定ローン・リースで手に入れた車の経費と仕訳

買い方が違っても、車を自分のものとして使う限り、経費の中心は減価償却費です。ローンの返済額やリースの支払額が、そのまま経費になるわけではありません。

取得方法ごとの経費の出し方(2026年10月時点)

取得方法帳簿に載せる取得価額毎年の経費
現金一括車両代+付随費用減価償却費 × 事業割合
ローン同上(借入額でなく車の価格)減価償却費+ローン利息、どちらも × 事業割合
残価設定ローン残価を含めた車の価格全体同上。残価は最後に払う借入金の扱い
リース(中途解約不可・費用負担あり)契約で決めたリース料の合計が基本リース期間で均等に償却 × 事業割合

ローンの元本は借りたお金の返済なので、経費になりません。経費になるのは利息分だけです。残価設定ローンも、車の代金は全額で取得価額に載せ、毎月の支払いのうち利息を経費にします。

リースは税法上「売買」として扱われる

中途で解約できず、使う人が車の利益と費用を実質的に負担するリース契約は、引き渡しの時に売買があったものとして所得を計算します(所得税法第67条の2)。所有権が移らないリースは、取得価額をリース期間の月数で割り、その年の月数をかける「リース期間定額法」で償却します(所得税法施行令120条の2第1項6号)。

リース料が毎月同じ額なら、この償却費は年間のリース料とほぼ同じになります。毎月のリース料を経費にしている人が多いのはこのためです。頭金・ボーナス月の加算・契約終了時の残価精算がある契約では、年ごとの金額がずれます。契約書の支払表を見て、リース期間全体で割り直しておくと安全です。

仕訳例1:普通乗用車を3,000,000円で購入、登録費用30,000円は経費、事業用口座から支払い

借方金額貸方金額
車両運搬具3,000,000円普通預金3,030,000円
支払手数料30,000円

兼用車でも、購入時の仕訳は全額で載せます。登録費用の30,000円は年末に事業割合で按分します。

仕訳例2:同じ車をローンで購入(頭金500,000円・借入2,500,000円)

借方金額貸方金額
車両運搬具3,000,000円普通預金500,000円
長期借入金2,500,000円

毎月の返済で元本40,000円・利息3,000円を引き落とされたら、次の1行です(事業割合60%)。

借方金額貸方金額
長期借入金40,000円普通預金43,000円
利子割引料1,800円
事業主貸1,200円

仕訳例3:年末の減価償却(300万円・7月購入・事業割合60%)

借方金額貸方金額
減価償却費150,300円車両運搬具250,500円
事業主貸100,200円

決算書の「減価償却費の計算」欄には、取得価額3,000,000円・耐用年数6年・償却率0.167・償却期間の月数6・本年分の償却費250,500円・事業専用割合60%・必要経費算入額150,300円・未償却残高2,749,500円を書きます。欄の書き方は青色申告決算書の書き方で様式ごとに見られます。

ローン返済の明細を取り込めば、元本は借入金、利息は利子割引料に分けて仕訳され、事業割合での按分も自動です。リース車も固定資産台帳にリース期間と総額を入れれば、毎年の償却費が計算されます。複式簿記の知識がなくても青色申告の65万円控除の帳簿まで進められるプランを、30日間試せます。

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私用で買った車を事業用に切り替えたときの減価償却

開業前や副業を始める前に私用で買った車を、事業に使い始めるケースは珍しくありません。この場合は、私用で使っていた期間の減価を差し引いた「未償却残高」から償却を始めます。買った値段のまま償却し直すことはできません。

未償却残高の出し方(国税庁 No.2108 の手順)

  1. 法定耐用年数を1.5倍し、1年未満を切り捨てた年数の旧定額法の償却率を使う(普通車6年 → 9年 → 0.111)
  2. 私用期間の減価 = 取得価額 × 0.9 × その償却率 × 私用で使った年数
  3. 私用期間の年数は、6か月以上の端数を1年、6か月未満を切り捨てる
  4. 取得価額から2の減価を引いた額が、使い始めた日の未償却残高

計算の根拠は所得税法施行令85条で、国税庁のNo.2108に中古建物の計算例があります。軽自動車なら4年 × 1.5 = 6年で、旧定額法の償却率は0.166です(耐用年数省令 別表第七)。

計算例:2021年1月に私用で買った新車300万円を、2026年1月から事業割合60%で使う

項目計算金額
①私用期間2021年1月〜2025年12月5年
②私用期間の減価3,000,000 × 0.9 × 0.111 × 51,498,500円
③使い始めた日の未償却残高3,000,000 − 1,498,5001,501,500円
④2026年の償却費3,000,000 × 0.167(定額法6年)× 12/12501,000円
⑤2026年に経費になる額501,000 × 60%300,600円

転用後の償却費は、③の残高にではなく、もとの取得価額3,000,000円に償却率をかけて出します。No.2108の例も同じ計算です。2027年に501,000円、2028年に残り499,500円から1円を残した499,499円で償却が終わります。

私用期間の5年分の減価は、どの年の経費にもなりません。事業に使う予定がある車は、使い始めた日を帳簿と走行記録で残しておくと、私用期間の年数で揉めません。開業前に買ったパソコンを開業後に使う場合も同じ計算で、パソコン代の経費の記事に4年の例があります。

車を売る・下取りに出す・廃車にしたときの扱い

事業に使っていた車を売って出た利益は、事業所得ではなく譲渡所得として申告します。売上に入れて事業所得で計算するのは、所得の区分の誤りです。

場面ごとの扱い(2026年10月時点)

場面所得の区分・扱い根拠
事業用の車を売った・下取りに出した総合課税の譲渡所得No.3152
所有5年を超えてから売った長期譲渡所得。利益の2分の1が課税対象No.3152
廃車にした(売却なし)未償却残高を資産損失として必要経費所得税法51条1項
通勤や買い物だけに使っていた車を売った生活用動産として課税されないNo.3105

譲渡所得は「売った金額 −(取得費+売るための費用)− 50万円」で計算します。取得費は買った値段から減価償却費の累計を引いた額で、50万円の特別控除はその年の譲渡益の合計に対して1回です(国税庁 No.3152)。

事業専用の300万円の新車を5年使い、未償却残高が50万円の時に80万円で売ると、利益は30万円で、50万円の控除の範囲に収まります。売った年の決算書では、車を帳簿から外す仕訳を入れて、償却費は売った月までの月割で計算します。

下取りに出して買い替える場合

下取り価格は、古い車の売却代金です。新しい車の値引きとして扱わず、新しい車の取得価額は値引き前の車両代で載せます。古い車の売却で出た利益や損は、上の譲渡所得の計算に乗せます。

兼用していた車を売るときの注意

通勤用の自動車のような生活に通常必要な動産は、売っても課税されません(国税庁 No.3105)。仕事と私用で兼用していた車は、事業で使った部分と私用部分で扱いが分かれる可能性があり、取得費の計算も事業割合をかけた償却の累計で変わります。兼用車を売った年は、売買契約書と決算書の控えを持って税務署で計算を確かめておくと確実です。

車を手放したときの行き先

  • 事業に使っていた車を手放した
    • 売った・下取りに出した総合課税の譲渡所得。売値 −(取得費+譲渡費用)− 50万円。5年超は2分の1(No.3152)
    • 廃車にした未償却残高を資産損失として必要経費(所得税法51条1項)。リサイクル預託金もこの時に費用
    • 私用だけに戻したその月までで償却を止める。以後の償却費は経費にならない

売却益は事業所得の売上に入れない。区分を分けて申告する

図:事業用の車は、売れば譲渡所得、廃車なら資産損失として必要経費に分かれる

よくある質問

Q1. 個人事業主が買った車は、買った年に全額を経費にできますか?

できません。車は減価償却資産なので、耐用年数で分けて経費にします(国税庁 No.2100)。例外は取得価額が10万円未満の場合と、青色申告者が2026年4月1日以後に10万円以上40万円未満の車を買って少額減価償却資産の特例を使う場合です。

Q2. 4年落ちの中古車は1年で経費にできるというのは本当ですか?

届出をしていない個人事業主には当てはまりません。4年落ちの普通車の耐用年数は簡便法で2年ですが、個人の法定の償却方法は定額法なので、1月に買っても初年度は取得価額の半分です。償却方法の届出書を買った年分の確定申告期限までに出して定率法にすれば、1月に使い始めた年に1円を残して全額を落とせます。

Q3. 中古車の耐用年数の計算で端数は切り上げですか、切り捨てですか?

切り捨てです。計算した年数に1年未満の端数があれば切り捨て、2年に満たなければ2年にします(耐用年数省令3条1項2号・5項)。普通車の4年落ちは(6 − 4)+ 4 × 0.2 = 2.8 で、2年になります。

Q4. カーローンの返済額は経費になりますか?

元本は経費になりません。経費になるのは利息の部分で、兼用の車なら事業割合をかけます。車の代金は、ローンで払っても現金一括と同じく、車両の価格全体を取得価額にして減価償却します。

Q5. 妻の名義の車を仕事に使っている場合、経費にできますか?

生計を一にする配偶者の車を無償で事業に使っている場合は、妻が持ち主として計算する減価償却費などを事業の必要経費に入れられます(所得税基本通達56-1)。この扱いは事業所得が前提で、副業の雑所得には当てはまりません。ガソリン代や自動車税を自分が払っているなら、その分も事業割合で経費にできます。

Q6. 事業に使っていた車を売りました。売ったお金は売上に入れますか?

売上には入れません。事業用の車を売った利益は総合課税の譲渡所得です(国税庁 No.3152)。売値から、取得価額から償却費の累計を引いた取得費と売るための費用を引き、さらに50万円の特別控除を引いて計算します。所有期間が5年を超えていれば、課税対象はその2分の1です。

まとめ

個人事業主の車の購入費は、耐用年数で分けた減価償却費に事業割合をかけて、毎年少しずつ経費にします。中古車で耐用年数が短くなっても、届出がなければ定額法で分かれる点を押さえておくと、買う前の見積もりを外しません。

この記事のまとめ

  • 車両本体は減価償却。普通車6年・軽4年・貨物5年。買った年は使い始めた月からの月割
  • 兼用車は償却費 × 事業割合。未償却残高は100%分ずつ減る
  • 青色申告は40万円未満なら特例で全額(2026年4月1日以後の取得・年300万円)
  • 中古車は簡便法で最短2年・端数切り捨て。4年落ちの普通車は2年
  • 4年落ちでも定額法なら初年度は半分まで。定率法は確定申告期限までの届出(A1-18)
  • ローンは利息だけ経費。リースは売買扱いでリース期間に分けて償却
  • 私用車を事業に回したら私用期間の減価を引いた残高から償却(No.2108)
  • 売った利益は譲渡所得。廃車は未償却残高を資産損失で経費

新車・中古車・リース・私用車の転用のどれでも、固定資産台帳に条件を入れておけば年ごとの償却費と事業割合の按分が自動で続きます。売却や廃車の年も、台帳から外す処理をすれば帳簿の残高はずれません。個人事業主向けのプランを30日間試してから決められます。

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免責事項

※本記事は2026年10月時点の公開情報・国税庁の公式資料をもとにした整理です。筆者は税理士ではなく、フリーランスとして自分の申告を行ってきた一当事者です。車の耐用年数・償却方法の選択・事業割合・リースや売却の取り扱いは、契約内容や事業内容、改正により異なります。個別の税務判断は所轄の税務署または税理士など有資格者へご確認ください。


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この記事を書いた人

会社員をしながら副業でWebライターを始め、開業届の提出から青色申告への切り替えまで、独学でやり切ったAokiです。今は専業のフリーランスとして4年目になります。副業の確定申告に初めて向き合った夜、青色申告の本を読んでも税理士のブログを見ても、「副業会社員のリアル」がどこにも書かれていなくて、夜中に頭を抱えました。

経費は何が認められるのか、住民税をどう設定すれば会社に知られにくいのか、仕訳は結局何を入力すればいいのか。全部、自分で何か月もかけて調べました。当時いちばん欲しかったのは、同じ立場の人がどう乗り越えたかの手順書です。このサイトでは、副業ならではの経費計上やfreeeとマネーフォワードの使い分けを、専門用語をかみ砕いて書いています。最終的な税務判断は、顧問税理士にご確認ください。

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