個人事業主の自宅家賃は何割まで経費になる?賃貸・持ち家別の按分基準と証明書類・仕訳を国税庁ベースで整理

個人事業主の自宅家賃は、仕事に使っている割合の分だけ経費になります。割合は面積・時間・部屋数のどれかで決め、間取り図と契約書で裏づけます。賃貸は地代家賃、持ち家は減価償却費・固定資産税・ローン利息を同じ割合で按分し、私用分は事業主貸で切り出します。

この記事でわかること

  • 自宅家賃が経費になる条件と、白色申告・青色申告で本当に違う点
  • 賃貸と持ち家で変わる勘定科目・按分対象・証明書類を1表で
  • 按分の割合を決める3つの基準と、税務署に説明できる証拠の残し方
  • ワンルームの扱いと、「何割まで」の実務的な線
  • 敷金・礼金・更新料・火災保険・光熱費の科目と仕訳例3本
  • 持ち家の減価償却の計算と、住宅ローン控除との両立

公的情報源: 国税庁タックスアンサー No.2210 必要経費の知識No.2100 減価償却のあらましNo.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)所得税基本通達45-1・45-2(家事関連費)(2026年9月閲覧。税制は改正されるため最新は国税庁でご確認ください)

家賃の按分率を一度登録しておけば、毎月の家賃も光熱費も同じ割合で自動計算され、私用分の事業主貸まで切り出してくれます。手計算をやめる方法があります。

結論を先に書きます

自宅の家賃は、仕事に使っている割合の分だけ必要経費 です。法律に「何割まで」という上限はありません。ただし割合の根拠を第三者に説明できる記録が要ります。

賃貸なら家賃そのものを、持ち家なら建物の減価償却費・固定資産税・ローン利息を按分します。持ち家のローン元本と土地代は経費になりません。

この記事の要点

  • 割合は面積・時間・部屋数のどれかで決め、年を通して同じ率を使う
  • 証拠は間取り図・賃貸借契約書・仕事部屋の写真の3点で足りる
  • 賃貸=地代家賃。持ち家=減価償却費+租税公課+利子割引料
  • 礼金は20万円未満なら支払時の経費、20万円以上は繰延資産で数年に分ける
  • 持ち家で住宅ローン控除を使うなら、居住用が床面積の2分の1以上が条件

目次

自宅家賃が経費になる条件|家事関連費の「明らかに区分できる部分」

家事関連費とは、家賃や光熱費のように生活と仕事の両方にまたがる支出のことです。国税庁は、このうち必要経費になるのは「取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額」に限ると定めています(国税庁 No.2210)。

自宅で仕事をしていれば、家賃の一部は業務に直接必要な支出です。問題は「明らかに区分できる」状態を自分で作れるかどうかに尽きます。この区分の作業が家事按分です。

白色申告と青色申告で何が違うか

所得税法施行令第96条は、家事関連費を経費にできる場合を2つ挙げています。1号は「主たる部分が業務に必要で、その部分を明らかに区分できる場合」、2号は「青色申告者が、業務に直接必要だったことを明らかにできる部分」です。

「主たる部分」は業務に必要な部分が50%を超えるかどうかで判定します。ここまでは白色申告に厳しい規定に見えます。ただし所得税基本通達45-2はこう続けています。50%以下であっても、必要な部分を明らかに区分できる場合は、その金額を必要経費に算入して差し支えない所得税基本通達45-2)。

この但書は1号の解釈なので、白色申告にも適用されます。仕事部屋が全体の20%でも、面積の記録があれば白色でも20%分を経費にできる、ということです。

実務で差が出るのは「明らかに区分できる」記録の重みです。青色申告は複式簿記と帳簿保存が前提なので、按分の根拠も帳簿の一部として残ります。白色は記録が薄くなりがちで、説明を求められたときに困る場面が増えます。制度の差というより、記録の差です。

経費にならないもの

  • 私用の割合の分:按分で切り出した残りは事業主貸で処理する
  • 生計を一にする親族に払う家賃:親の家に家賃を払っても経費にならない(同 No.2210)。その親族が払う固定資産税などは、事業分を自分の経費にできる
  • 持ち家のローン元本・土地の購入代金:資産の取得なので経費という概念がない
  • 返ってくる敷金・保証金:預けているだけなので資産(差入保証金)

自宅の家賃が経費になるかの判定

  • その家で事業の業務をしているか
  • 事務所専用で借りている全額が経費自宅と別に借りた事務所・コワーキング
  • 自宅と兼用按分した分だけ経費面積・時間・部屋数で割合を決める
  • 親族の家・仕事をしていない対象外生計一の親族への家賃は経費にならない

兼用の場合は割合の根拠を記録で残す。白色でも記録があれば50%以下の按分が通る

図:専用・兼用・対象外で分かれる、自宅家賃の経費判定

賃貸と持ち家で変わる科目・按分対象・証明書類を1表で

自宅の費用は、借りているか持っているかで科目がまるごと変わります。按分する対象も、残す書類も違います。先に全体を1表で押さえます。

賃貸・持ち家の比較(自宅で仕事をする場合)

項目賃貸持ち家
家そのものの費用家賃・共益費 → 地代家賃建物の減価償却費(土地は対象外)
税金なし固定資産税・都市計画税 → 租税公課
ローンなし利息のみ → 利子割引料(元本は不可)
保険火災保険料 → 損害保険料火災保険料・地震保険料 → 損害保険料
入居時の費用礼金・仲介手数料・更新料(後述)登記費用・不動産取得税は取得価額または経費
修繕原則なし(借主負担分は修繕費)修繕費(事業分)。価値を上げる工事は資本的支出
光熱費・通信費水道光熱費・通信費同じ
残す証明書類賃貸借契約書・間取り図・仕事部屋の写真・振込記録売買契約書・建物の取得価額の分かる書類・固定資産税の納税通知書・ローン返済予定表・間取り図
決算書の記入欄「地代家賃の内訳」欄に貸主・物件・賃借料・必要経費算入額「減価償却費の計算」欄に取得価額・耐用年数・事業専用割合

賃貸は家賃の按分だけで終わります。持ち家は建物の減価償却という計算が1つ増え、書類も多くなります。手間は増えますが、経費にできる範囲は持ち家のほうが広めです。固定資産税と保険料は、賃貸だと家賃に含まれていて按分できないためです。

按分の割合の決め方|面積・時間・部屋数の3基準と残す証拠

割合の決め方に法律上の決まりはありません。国税庁は「業務の内容、経費の内容、家族の構成、家屋の利用状況等を総合勘案して判定する」とだけ書いています(所得税基本通達45-1)。自分で合理的な基準を選び、記録を残す形になります。

按分基準の3パターンと残す証拠

基準計算式向いている使い方残す証拠
面積仕事部屋の面積 ÷ 専有面積仕事専用の部屋がある間取り図(契約書・募集図面)、仕事部屋の写真、メジャーで測ったメモ
時間仕事の時間 ÷ 在宅の総時間ワンルーム・リビングで仕事をする業務日誌、稼働時間の記録、カレンダー
部屋数仕事部屋の数 ÷ 全部屋数部屋の広さがほぼ同じ間取り図、仕事部屋の写真

いちばん説明しやすいのは面積です。数字が間取り図に書いてあり、誰が測っても同じ値になります。

例えば専有面積60㎡の2LDKで、12㎡の洋室を仕事部屋にしているなら、按分率は20%です。家賃12万円なら、月24,000円・年288,000円が地代家賃になります。

面積で切れない人は時間で決めます。1日8時間・週5日を仕事に使うなら、週40時間 ÷ 168時間で約24%です。この場合は在宅で仕事をしている時間の記録が根拠になります。

「何割まで」の実務的な線

上限はありません。ただし数字には目安の帯があります。

  • 仕事部屋が1部屋ある2LDK〜3LDK:面積で計算すると15〜30%に収まることが多い。仕事部屋が12㎡で専有面積が40〜80㎡なら、この帯に入ります
  • ワンルーム・1K:面積で切れないので時間基準か、机まわりの実面積(2〜4㎡ ÷ 25㎡=8〜16%)で決める。時間基準なら20〜30%が計算上の上限に近い
  • 50%超:所得税基本通達45-2が「主たる部分」の判定に50%を使っているので、超えると「家の半分以上が仕事場」の説明を求められやすい。家の半分を店舗や倉庫にしている実態があれば問題ありません

割合を高くするより、根拠を残すほうが後で効きます。実態より高い率を置くと、修正申告で追徴される分が大きくなります。20%で記録が揃っている状態のほうが、40%で説明できない状態より強いです。

ワンルームで仕事をしている場合

ワンルームは「仕事専用の部屋」がありません。それでも按分はできます。方法は2つです。

1つは時間基準です。業務日誌に日ごとの作業時間を残し、在宅時間との比率で率を決めます。もう1つは作業スペースの面積です。机と本棚の区画を測り、専有面積で割ります。3㎡ ÷ 25㎡ なら12%です。

どちらも、寝室と仕事場が同じ空間だという実態を隠さない前提で成り立ちます。写真を1枚撮っておくと、机の区画が仕事専用だと見せられます。

私は賃貸の頃、募集図面の間取り図を契約書と一緒にファイルし、仕事部屋の写真を年1回撮っていました。面倒な作業はそれだけで、按分率は開業から変えていません。

按分率の運用で押さえる2点

  • 家賃・光熱費・保険料は同じ率でよい:費目ごとに率を変えると説明が複雑になる。面積で決めた率を家の固定費すべてに使う
  • 年の途中で率を変えない:引っ越しや仕事部屋の変更があった年だけ、変更月から率を切り替え、理由をメモに残す

賃貸の家賃・敷金・礼金・更新料・保険料の勘定科目と仕訳

賃貸の費用は、家賃以外にも入居時と更新時にまとまった支払いがあります。科目が分かれるので、費目ごとに並べます。

賃貸で発生する費目の勘定科目(按分あり)

費目勘定科目扱い
家賃・共益費・管理費地代家賃毎月按分。前払いした翌月分は年末に前払費用へ
敷金・保証金(返ってくる分)差入保証金(資産)経費にならない。退去時に返らなかった分だけ、その年の修繕費や地代家賃
礼金・権利金(20万円未満)地代家賃(または支払手数料)支払った年の経費として按分
礼金・権利金(20万円以上)繰延資産(長期前払費用)契約期間(5年超なら5年)で均等に償却し、按分
仲介手数料支払手数料支払った年の経費として按分
更新料(20万円未満)地代家賃支払った年の経費として按分
火災保険料損害保険料2年分一括なら期間で分け、当年分を按分
保証会社の保証料支払手数料契約期間が2年なら2年で分けるのが原則
駐車場代地代家賃事業で車を使う分だけ。車の経費は自動車税・車検の記事で整理

礼金だけ扱いが変わります。建物を借りるために払う権利金や礼金は、所得税法施行令で「繰延資産」に当たり、20万円以上なら支払った年に全額経費にできず、賃借期間(5年を超えるときは5年)で均等に分けます。20万円未満は支払った年の経費です。礼金15万円なら地代家賃で一括、礼金30万円なら繰延資産として2年契約なら年15万円ずつ、という計算になります。

仕訳例1:家賃120,000円を事業用口座から支払い(按分率20%)

借方金額貸方金額
地代家賃24,000円普通預金120,000円
事業主貸96,000円

私用の口座から払った場合は、経費分だけを仕訳します。貸方は事業主借です。

借方金額貸方金額
地代家賃24,000円事業主借24,000円

家賃を家事按分する仕訳

借方

地代家賃 24,000円(事業20%)

事業主貸 96,000円(私用80%)

貸方

普通預金 120,000円

図:家賃120,000円・按分率20%のときの仕訳(事業用口座から支払い)

毎月同じ仕訳が12回続きます。会計ソフトで家賃の取引に按分率を登録しておけば、明細を取り込むだけで事業主貸まで自動で切れます。

持ち家の場合|減価償却費・固定資産税・ローン利息の計算と仕訳

持ち家には家賃がありません。代わりに、建物の減価償却費・固定資産税・ローンの利息・火災保険料を按分します。建物は「時の経過で価値が減る資産」なので、取得価額を耐用年数に分けて経費にします(国税庁 No.2100)。土地は価値が減らないので対象外です。

持ち家で按分できる費用の分類

  • 建物取得価額を耐用年数で分ける
    • 減価償却費建物部分のみ・定額法(土地は対象外)
  • 税金・利息年ごとに払う固定費
    • 租税公課固定資産税・都市計画税
    • 利子割引料住宅ローンの利息(元本は不可)
  • 保険・修繕建物にかかる維持費
    • 損害保険料火災保険・地震保険(期間按分)
    • 修繕費原状回復。価値を上げる工事は資産へ

すべて同じ按分率をかけ、私用分は事業主貸にまとめる

図:持ち家の費用は建物・税金利息・保険修繕の3系統に分けてから科目を当てる

減価償却の計算例:建物2,400万円・木造・按分率20%

木造住宅の法定耐用年数は22年で、定額法の償却率は0.046です(国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」「減価償却資産の償却率表」)。平成10年4月1日以後に取得した建物は定額法しか選べません(同 No.2100)。

  1. 建物の取得価額を出す:売買契約書で土地と建物を分ける。分かれていなければ、契約書の消費税額から建物価額を逆算するか、固定資産税評価額の比で分ける
  2. 年間の減価償却費を計算:2,400万円 × 0.046 = 1,104,000円
  3. 按分率をかける:1,104,000円 × 20% = 220,800円がその年の減価償却費

開業前から住んでいた家を仕事に使い始めた場合は、住んでいた期間の値下がり分を先に差し引きます。非業務用の期間は耐用年数を1.5倍(木造なら33年)にして減った額を計算し、残りを未償却残高として償却を始めます。この計算は会計ソフトの固定資産台帳に「事業供用日」と「取得日」を入れると自動で出ます。

固定資産税・ローン利息・保険料の按分

費目年額(例)勘定科目事業分20%
固定資産税・都市計画税120,000円租税公課24,000円
住宅ローン利息(返済予定表の利息欄)300,000円利子割引料60,000円
火災保険料(当年分)20,000円損害保険料4,000円
減価償却費(上記)1,104,000円減価償却費220,800円
合計308,800円

ローンの返済額のうち、経費になるのは利息だけです。返済予定表の「利息」の列を年間で合計し、按分率をかけます。元本の返済は、借りたお金を返しているだけなので経費になりません。

仕訳例2:固定資産税120,000円を私用口座から支払い(按分率20%)

借方金額貸方金額
租税公課24,000円事業主借24,000円

減価償却費は支払いのない仕訳なので、年末に1本だけ計上します。

借方金額貸方金額
減価償却費220,800円建物220,800円
事業主貸883,200円建物883,200円

私用分の883,200円も建物の帳簿価額からは減らします。青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄に事業専用割合を20と書けば、決算書側で必要経費算入額を計算してくれます。

持ち家で気をつける2点

  • 売却時の3,000万円特別控除は居住用部分だけ:家を売ったときの特別控除は、事業に使っていた部分には使えません。按分率が高いほど、売却時に課税される部分が増えます
  • 減価償却した分だけ帳簿価額が下がる:売却益の計算では、償却した金額を取得費から引きます。経費にした分は売却時に戻ってくる構造です

持ち家の減価償却は、取得価額・耐用年数・事業供用日・按分率の4つを一度登録すれば、毎年の償却費と決算書の記入まで自動で進みます。賃貸の家賃も同じ率で自動按分され、光熱費の事業主貸まで切り出します。個人事業主向けのプランを30日間試せます。

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住宅ローン控除と自宅経費の両立|居住用が2分の1以上なら併用できる

持ち家で仕事をしている人がいちばん迷う点です。住宅ローン控除の対象になる住宅は、「床面積の2分の1以上を専ら自己の居住の用に供していること」が要件の1つです(国税庁 No.1213)。店舗や事務所と併用している住宅は、その部分を含めた建物全体の床面積で判定します。

つまり按分率が50%未満なら、住宅ローン控除は受けられます。ただし控除の対象になるのは居住用部分に対応するローン残高だけです。按分率20%なら、ローン残高の80%が控除の計算対象になります。

按分率と住宅ローン控除の関係

事業の按分率住宅ローン控除経費にできる利息
10%以下全額が控除対象になる取り扱いが実務上ある(税務署で確認)利息の10%以下
10%超〜50%未満居住用部分(按分率を引いた分)が控除対象利息の按分率分
50%以上対象外利息の按分率分

按分率を上げると経費は増えますが、住宅ローン控除は減ります。ローン残高が大きい年は、控除額のほうが経費の節税効果より大きいことがあります。数字を両方出して比べてから率を決めてください。

計算のたたき台

ローン残高3,000万円・年末控除率0.7%なら、控除額は21万円です。按分率20%にすると居住用80%で16.8万円に減り、差額は4.2万円。一方で経費が308,800円増え、所得税率10%・住民税10%なら税額は約6.2万円減ります。この例では按分したほうが有利ですが、税率が5%の年や残高が大きい年は逆転します。

光熱費・通信費の按分|電気代は仕事の時間で決めてよい

家賃と同じ率で按分するのが簡単です。ただし電気代と通信費は、仕事の実態に合わせて率を変えても構いません。

光熱費・通信費の勘定科目と按分の考え方

費目勘定科目按分の考え方
電気代水道光熱費面積か時間。パソコン作業が長いなら時間基準が実態に近い
ガス代・水道代水道光熱費業務で使わない仕事(文章・設計など)なら按分しない判断もある
インターネット回線通信費時間基準。仕事の時間が長ければ50%以上でも説明できる
スマホ代通信費通話・データの使用実態。仕事用の回線を分けると按分不要
サブスク(クラウド・ツール)通信費または消耗品費仕事専用なら全額

家賃とは別の率を使う場合は、その理由をメモに残します。「家賃は面積20%、電気代は作業時間で40%」のように、率が違う理由を説明できれば問題ありません。ガス代や水道代は、料理や風呂など生活の使用が大半なので、按分せずに私用にする判断も現実的です。

仕訳例3:電気代10,000円を私用のクレジットカードで支払い(按分率40%)

借方金額貸方金額
水道光熱費4,000円事業主借4,000円

私用のカードや口座から払った費用は、経費分だけ「事業主借」で計上します。事業用口座から払ったなら、家賃の仕訳例1と同じ形で事業主貸に私用分を切り出します。

決算書への書き方と、税務署に説明できる証拠のセット

按分した家賃は、青色申告決算書(または収支内訳書)の経費欄に按分後の金額を書きます。地代家賃には専用の内訳欄があるので、そこも埋めます。

青色申告決算書「地代家賃の内訳」欄の書き方

  • 支払先の住所・氏名:大家または管理会社(契約書の貸主欄)
  • 賃借物件:「自宅兼事務所」など
  • 本年中の賃借料:払った家賃の総額(按分前)
  • 左のうち必要経費算入額:按分後の金額(年288,000円など)

総額と算入額を並べて書く欄なので、按分している事実は決算書を見れば分かります。隠す設計になっていない、ということです。決算書全体の記入手順は青色申告決算書の書き方で整理しています。

残しておく証拠のセット

場面残すもの保存年数
割合の根拠間取り図・仕事部屋の写真・面積のメモ(時間基準なら業務日誌)帳簿と同じ7年
支払いの事実賃貸借契約書・振込記録・家賃の領収書7年(白色は5年)
持ち家売買契約書・固定資産税の納税通知書・ローン返済予定表売却まで
率を変えた理由引っ越し日・仕事部屋を変えた日のメモ帳簿と同じ

税務調査で聞かれるのは「なぜその割合か」の一点です。間取り図と写真があれば、面積按分は1分で説明が終わります。時間按分は業務日誌がないと説明が止まるので、時間基準を選ぶ人は日誌を続けてください。

よくある質問

Q1. 個人事業主の家賃は何割まで経費にできますか?

上限はありません。仕事に使っている面積や時間の割合で決め、根拠を記録で残せる範囲が経費になります。仕事部屋が1部屋なら面積で15〜30%に収まることが多く、50%を超える場合は家の半分以上が仕事場だという実態の説明を求められやすくなります。

Q2. 家賃を経費にするのに必要な書類は何ですか?

賃貸借契約書、間取り図、仕事部屋の写真、家賃の振込記録の4点です。契約書と振込記録で支払いの事実を、間取り図と写真で割合の根拠を示します。時間基準で按分する人は、業務日誌を加えます。

Q3. ワンルームでも家賃を経費にできますか?

できます。仕事専用の部屋がなくても、机まわりの面積を専有面積で割るか、仕事の時間を在宅時間で割って率を決めます。3㎡ ÷ 25㎡ なら12%、週40時間 ÷ 168時間なら約24%です。寝室と仕事場が同じ空間であることを前提に、率を控えめにして根拠を残します。

Q4. 持ち家の場合、住宅ローンの返済額は経費になりますか?

元本は経費になりません。利息だけが利子割引料として按分の対象です。代わりに建物の減価償却費、固定資産税、火災保険料を同じ率で按分できます。土地の代金は減価償却の対象外です。

Q5. 礼金や更新料はどの科目で処理しますか?

20万円未満なら支払った年に地代家賃(更新料も同じ)で按分します。礼金や権利金が20万円以上のときは繰延資産になり、契約期間(5年を超えるときは5年)で均等に分けて経費にします。返ってくる敷金は資産なので経費になりません。

Q6. 白色申告だと家賃の按分は50%超でないと認められませんか?

50%以下でも、仕事に使っている部分を明らかに区分できれば経費にできます。所得税基本通達45-2の但書がこの扱いを認めており、青色申告に限った規定ではありません。差が出るのは記録の厚みなので、白色でも間取り図と契約書は残してください。

まとめ|割合を1つ決めて、証拠を3点残すだけ

自宅家賃の経費処理は、決めることが1つ、残すものが3点です。

この記事のまとめ

  • 自宅家賃は仕事に使う割合の分だけ経費。上限はなく、根拠の記録で決まる
  • 割合は面積・時間・部屋数のどれかで決め、間取り図・契約書・写真を残す
  • 賃貸は地代家賃。持ち家は減価償却費・固定資産税・ローン利息を按分し、元本と土地は対象外
  • 礼金は20万円以上で繰延資産。敷金は資産で経費にならない
  • 持ち家で住宅ローン控除を使うなら按分率50%未満。控除額と経費の効果を両方計算して率を決める

割合を年初に決めて、家賃・光熱費・保険料に同じ率をかける。この型ができれば、毎月の家賃の仕訳も、年末の減価償却も、迷う時間はほとんどなくなります。

家賃の按分は毎月同じ仕訳が12回続くので、手で切ると事業主貸の計算でずれが出ます。按分率をソフトに登録すれば、家賃も光熱費も自動で事業分だけが経費に入り、決算書の「地代家賃の内訳」まで一続きで作れます。青色申告の65万円控除に必要な複式簿記も、仕訳の知識なしで進められるプランを30日間試してから決められます。

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免責事項

※本記事は2026年9月時点の公開情報・国税庁公式をもとにした整理です。筆者は税理士ではなく、フリーランスとして自分の申告を行ってきた一当事者です。家事按分の割合・勘定科目の選び方・減価償却や住宅ローン控除の要件は、事業内容や改正により異なります。個別の税務判断は、所轄の税務署または税理士など有資格者へご確認ください。


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この記事を書いた人

会社員をしながら副業でWebライターを始め、開業届の提出から青色申告への切り替えまで、独学でやり切ったAokiです。今は専業のフリーランスとして4年目になります。副業の確定申告に初めて向き合った夜、青色申告の本を読んでも税理士のブログを見ても、「副業会社員のリアル」がどこにも書かれていなくて、夜中に頭を抱えました。

経費は何が認められるのか、住民税をどう設定すれば会社に知られにくいのか、仕訳は結局何を入力すればいいのか。全部、自分で何か月もかけて調べました。当時いちばん欲しかったのは、同じ立場の人がどう乗り越えたかの手順書です。このサイトでは、副業ならではの経費計上やfreeeとマネーフォワードの使い分けを、専門用語をかみ砕いて書いています。最終的な税務判断は、顧問税理士にご確認ください。

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