青色申告決算書の書き方|4つの様式と損益計算書・貸借対照表の記入例

青色申告決算書の書き方は、4ページの様式を順に埋めるだけです。1ページ目に損益計算書、2〜3ページ目にその内訳、4ページ目に貸借対照表を記入します。65万円控除には4ページ目(貸借対照表)まで複式簿記で作る必要があります。

この記事でわかること

  • 青色申告決算書の4つの様式(4ページ)に、それぞれ何を記入するか
  • 1ページ目 損益計算書の売上・経費・所得金額の書き方
  • 2〜3ページ目(月別売上・給料・減価償却・地代家賃)の内訳の埋め方
  • 4ページ目 貸借対照表の書き方と、65万円控除に必須の理由
  • 記入から提出(e-Tax・書面)までの手順と、控除額別に必要な様式の違い

公的情報源: 国税庁タックスアンサー No.2070 青色申告制度No.2072 青色申告特別控除(2026年7月閲覧)

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結論を先に書きます

青色申告決算書の書き方は、「4ページを前から順に埋める」だけ です。難しく見えるのは、1ページ目(損益計算書)の数字が2〜3ページ目の内訳から積み上がり、最後の4ページ目(貸借対照表)とも連動しているからです。

この記事では、その4ページを1枚ずつ「何を書くか」に分解して整理します。順番と役割さえ分かれば、迷う場面は大きく減ります。

この記事の要点
  • 青色申告決算書は4ページ。1ページ目=損益計算書、2〜3ページ目=内訳、4ページ目=貸借対照表
  • 1ページ目の所得金額が確定申告書へ、4ページ目は財産の状態を示す
  • 65万円・55万円控除には4ページ目(貸借対照表)まで複式簿記で作成が必須
  • 10万円控除なら貸借対照表は空欄でよく、簡易簿記で足りる
  • 会計ソフトを使えば、日々の入力から4ページが自動で完成する

目次

青色申告決算書とは?4つの様式(4ページ)の全体像

青色申告決算書とは、青色申告をする人が1年間の事業の「もうけ」と「財産」を計算してまとめる、4ページの計算書 です。正式名称は「所得税青色申告決算書」で、確定申告書と一緒に税務署へ提出します。

白色申告の「収支内訳書」に対応する書類ですが、青色申告決算書のほうが記入項目が多く、そのぶん最大65万円の特別控除という見返りがあります(国税庁 No.2072・2026年7月閲覧)。

4ページそれぞれの役割

一般的な事業所得で使う「一般用」の様式は、次の4ページで構成されています。

ページ様式名記入する主な内容
1ページ目損益計算書売上・売上原価・経費・所得金額
2ページ目損益計算書の内訳①月別売上、給料賃金、専従者給与、青色申告特別控除額の計算
3ページ目損益計算書の内訳②減価償却費、地代家賃、利子割引料などの内訳
4ページ目貸借対照表期首・期末の資産・負債・元入金(財産の状態)

1ページ目が「今年いくら儲かったか(損益)」、4ページ目が「いま財産がいくらあるか(貸借)」を表します。2〜3ページ目は、1ページ目の数字の内訳を細かく示す補足ページ、という位置づけです。

青色申告決算書の1ページ目損益計算書・2〜3ページ目内訳・4ページ目貸借対照表という4ページ構成を示した分類図
図:青色申告決算書(一般用)の4ページ構成と各ページの記入内容

「一般用」以外の様式もある

多くの個人事業主・フリーランスは「一般用」を使いますが、事業内容によっては別の様式を使います。

  • 一般用: 商業・工業・サービス業など大半の事業所得(本記事はこれを解説)
  • 農業所得用: 農業を営む場合
  • 不動産所得用: アパート・駐車場など不動産賃貸の所得
  • 現金主義用: 前々年の所得が300万円以下で、現金主義の届出をした小規模事業者

自分がどれに当たるか迷う場合は、まず「一般用」で問題ないケースがほとんどです。不動産所得がある人は不動産賃貸(サラリーマン大家)の確定申告もあわせて確認してください。

【1ページ目】損益計算書の書き方

損益計算書は、1年間の売上から経費を差し引いて「所得金額」を計算するページ です。青色申告決算書のなかで最も重要な1枚で、ここで出た所得金額がそのまま確定申告書へ転記されます。

上段:売上(収入)金額と売上原価

まず上段で、その年の売上(収入)金額を記入します。仕入れのある事業は、続けて売上原価を計算します。

  • 売上原価 = 期首商品棚卸高 + 本年中の仕入金額 - 期末商品棚卸高
  • 仕入れのないサービス業などは、売上原価の欄は空欄で構いません

棚卸資産の評価方法で在庫の金額は変わります。詳しくは棚卸資産の評価方法(低価法)を参照してください。

中段:経費を科目ごとに記入

売上総利益(売上-売上原価)の下に、経費を勘定科目ごとに記入します。用紙にはあらかじめ約20種類の科目が印刷されています。

主な経費科目内容の例
租税公課事業税・固定資産税・印紙代など
荷造運賃発送の梱包費・送料
水道光熱費事業で使う電気・ガス・水道
旅費交通費電車・バス・宿泊費
通信費電話・インターネット・切手
減価償却費高額な資産を耐用年数で分けた費用
地代家賃事務所・店舗の家賃

自宅兼事務所の家賃や光熱費は、事業で使う割合だけを経費にする「家事按分」が必要です。按分の考え方は個人事業主の確定申告のやり方で確認できます。

下段:所得金額と青色申告特別控除

経費を差し引いた後、下段で所得金額を計算します。ここで青色申告特別控除額(65万円・55万円・10万円のいずれか)を差し引いた金額が、最終的な事業所得 になります。

つまり1ページ目の流れは「売上 - 売上原価 - 経費 - 青色申告特別控除 = 所得金額」。この所得金額が確定申告書の第一表へ転記され、税額計算の元になります。

【2ページ目】月別売上・給料賃金などの内訳

2ページ目は、1ページ目の損益計算書に書いた数字の「内訳」を示すページ です。主に次の4つの欄があります。

  1. 月別の売上(収入)金額と仕入金額:1〜12月まで月ごとに記入
  2. 給料賃金の内訳:従業員に払った給与を氏名別に記入
  3. 専従者給与の内訳:家族従業員に払った給与を記入
  4. 青色申告特別控除額の計算:控除前の所得から控除額を計算

月別売上は、日々の帳簿を月単位で合計するだけです。給料賃金・専従者給与の欄は、従業員や家族に給与を払っていない場合は空欄で構いません。

家族へ支払う専従者給与を経費にするには事前の届出が必要です。要件は青色事業専従者給与とは(条件・届出期限)で確認してください。

【3ページ目】減価償却費・地代家賃などの内訳

3ページ目も内訳のページで、特に「減価償却費」と「地代家賃」の計算が中心 です。金額の大きい資産や家賃を、どう費用化したかを示します。

減価償却費の計算

10万円以上の高額な資産(パソコン・車・機械など)は、買った年に全額を経費にできません。耐用年数に分けて少しずつ費用にする「減価償却」を、この欄で計算します。

記入項目内容
資産の名称例:ノートパソコン、業務用車両
取得価額購入金額
耐用年数資産ごとに法律で決まった年数
本年分の償却費その年に費用にできる金額

計算した「本年分の償却費」の合計が、1ページ目の減価償却費の欄に載ります。少額な資産を一括で経費にできる特例もあるので、減価償却の特例(30万円未満の即時経費化)もあわせて確認してください。

地代家賃・利子割引料などの内訳

事務所・店舗の家賃は「地代家賃の内訳」に、支払先・物件・年間支払額を記入します。事業用の借入金の利息がある場合は「利子割引料の内訳」に記入します。税理士へ報酬を払った場合の欄もあります。

これらの内訳の合計が、そのまま1ページ目の各経費科目の金額とつながる仕組みです。

【4ページ目】貸借対照表の書き方(65万円控除の必須条件)

貸借対照表は、事業の「財産の状態」を期首と期末の2時点で示すページ です。左側に資産、右側に負債と元入金(資本)を記入し、左右の合計が必ず一致します。

記入する主な項目

区分主な科目
資産の部(左)現金、預金、売掛金、棚卸資産、固定資産
負債の部(右上)買掛金、借入金、未払金
資本の部(右下)元入金、青色申告特別控除前の所得金額

期首(1月1日または開業日)と期末(12月31日)の残高をそれぞれ記入します。1ページ目で計算した「青色申告特別控除前の所得金額」が、この4ページ目の資本の部にも入り、損益計算書と貸借対照表が数字で連動 します。

損益計算書の所得金額が貸借対照表の資本の部に反映され両者が連動する流れを示した図
図:1ページ目の所得金額が4ページ目の資本の部へ連動する流れ

貸借対照表がないと65万円控除は取れない

ここが最重要ポイントです。65万円・55万円の青色申告特別控除を受けるには、複式簿記で記帳し、この貸借対照表を作成・添付すること が要件です(国税庁 No.2072・2026年7月閲覧)。

10万円控除だけを狙う場合は簡易簿記でよく、4ページ目の貸借対照表は空欄のままで構いません。複式簿記そのものの意味は正規の簿記の原則とはで解説しています。

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記入から提出までの手順

青色申告決算書を作成し、提出するまでの流れを4ステップで整理します。

  1. 日々の取引を複式簿記で帳簿につける(または会計ソフトへ入力)
  2. 2〜3ページ目の内訳(月別売上・減価償却・地代家賃)をまとめる
  3. 1ページ目の損益計算書と4ページ目の貸借対照表を完成させる
  4. 確定申告書と一緒に、e-Taxまたは書面で提出する

手書きで作る場合は、内訳(2〜3ページ目)から先に埋めて、その合計を1ページ目へ集約すると迷いにくくなります。最後に4ページ目の貸借対照表で左右の合計を一致させて完成です。

複式簿記の記帳から内訳集計・本表完成・提出までの青色申告決算書作成4ステップを示した図
図:青色申告決算書を記入し提出するまでの4ステップ

提出期限は、原則としてその年の翌年3月15日まで。65万円控除を受けるには、e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存が要件 になります(国税庁 No.2072・2026年7月閲覧)。e-Taxの始め方はe-Taxのやり方完全ガイドで解説しています。

会計ソフトを使うと、日々の入力(1・2の作業)さえ済ませれば、3の決算書4ページは自動で作成され、そのままe-Tax送信まで進めます。手作業との差が最も大きく出るのがこの決算書作成の工程です。

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控除額別|必要な様式(貸借対照表の要否)

同じ青色申告決算書でも、狙う控除額によって「4ページ目まで作るか」が変わります。

青色申告特別控除65万円・55万円・10万円で必要な記帳方法と貸借対照表の要否を対比した図
図:控除額65/55/10万円で異なる記帳方法・貸借対照表の要否・提出方法
控除額記帳方法4ページ目(貸借対照表)提出方法
65万円複式簿記必要e-Tax または電子帳簿保存
55万円複式簿記必要書面提出
10万円簡易簿記不要(空欄でよい)書面・e-Taxどちらでも

65万円と55万円の違いは「提出方法だけ」で、どちらも複式簿記と貸借対照表が必要です(国税庁 No.2072・2026年7月閲覧)。同じ手間なら、電子申告で65万円を取りにいくのが有利です。

10万円控除は貸借対照表が不要で難易度が下がりますが、控除額も小さくなります。控除額と要件の全体像は青色申告特別控除とは(65万円と10万円の違い)で整理しています。

よくある質問

Q1. 青色申告決算書は何ページありますか?

一般用の様式は4ページです。1ページ目が損益計算書、2〜3ページ目がその内訳(月別売上・給料・減価償却・地代家賃など)、4ページ目が貸借対照表です。10万円控除の場合は4ページ目の貸借対照表を空欄にできるため、実質3ページ分の記入で済みます。

Q2. 青色申告決算書はどこで入手できますか?

税務署の窓口で用紙をもらえるほか、国税庁のサイトからPDFをダウンロードできます。国税庁「確定申告書等作成コーナー」や会計ソフトを使えば、画面入力した内容から決算書が自動で作成・出力されるため、紙の様式を手書きする必要はありません。

Q3. 損益計算書と貸借対照表の違いは何ですか?

損益計算書(1ページ目)は「1年間でいくら儲かったか(もうけ)」を、貸借対照表(4ページ目)は「決算時点で財産がいくらあるか(財産の状態)」を表します。両者は独立ではなく、1ページ目で計算した所得金額が4ページ目の資本の部にも入り、数字が連動する関係にあります。

Q4. 貸借対照表を書かないと青色申告はできませんか?

10万円控除でよければ、貸借対照表は空欄のままで青色申告できます。ただし65万円・55万円控除を受けるには、複式簿記による記帳と貸借対照表の作成が必須です。控除額を最大化したい場合は、4ページ目まで作成する必要があります。

Q5. 青色申告決算書と確定申告書はどう違いますか?

青色申告決算書は「事業のもうけと財産を計算する書類」、確定申告書は「その所得をもとに納める税額を計算する書類」です。決算書1ページ目で出した所得金額を確定申告書へ転記して税額を計算する流れになるため、両方をセットで提出します。

Q6. 手書きと会計ソフト、どちらで作るべきですか?

取引が少なく簿記の知識がある人なら手書きでも作れますが、内訳と1ページ目・4ページ目の数字を手で一致させる作業は負担が大きいです。簿記に不安がある人や65万円控除を狙う人は、日々の入力から決算書4ページを自動作成できる会計ソフトが現実的です。無料体験で自分の帳簿が形になるか試してから判断できます。

まとめ|4ページの役割を押さえれば書ける

青色申告決算書の書き方を最後に整理します。

この記事のまとめ
  • 青色申告決算書は4ページ。1ページ目=損益計算書、2〜3ページ目=内訳、4ページ目=貸借対照表
  • 1ページ目の所得金額が確定申告書へ、4ページ目が財産の状態を示し、両者は連動する
  • 内訳(2〜3ページ目)から先に埋めて1ページ目へ集約すると迷いにくい
  • 65万円・55万円控除は貸借対照表が必須、10万円控除は空欄でよい
  • 会計ソフトなら日々の入力から4ページが自動で完成し、e-Taxまで一気通貫

4ページそれぞれの役割さえ分かれば、青色申告決算書は「前から順に埋める」だけの作業になります。手作業でつまずきやすいのは内訳と本表の数字合わせなので、不安があれば無料体験で会計ソフトの自動集計を試す のが、結局は最短ルートです。

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免責事項

※本記事は国税庁の公開情報をもとにした青色申告決算書の書き方の整理です。税制・様式・要件は改正されることがあるため、最終的な記入・提出の判断は国税庁の最新情報をご確認ください。個別の税務判断は、所轄の税務署または税理士など有資格者へご相談ください。


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この記事を書いた人

会社員をしながら副業でWebライターを始め、開業届の提出から青色申告への切り替えまで、独学でやり切ったAokiです。今は専業のフリーランスとして4年目になります。副業の確定申告に初めて向き合った夜、青色申告の本を読んでも税理士のブログを見ても、「副業会社員のリアル」がどこにも書かれていなくて、夜中に頭を抱えました。

経費は何が認められるのか、住民税をどう設定すれば会社に知られにくいのか、仕訳は結局何を入力すればいいのか。全部、自分で何か月もかけて調べました。当時いちばん欲しかったのは、同じ立場の人がどう乗り越えたかの手順書です。このサイトでは、副業ならではの経費計上やfreeeとマネーフォワードの使い分けを、専門用語をかみ砕いて書いています。最終的な税務判断は、顧問税理士にご確認ください。

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