サラリーマン大家の確定申告|相続で始めた初心者が陥る「経費の罠」と修繕費の正解

サラリーマン大家さんが申告する際の注意点

「親が亡くなり、実家を相続することになった。とりあえず賃貸に出してみたけれど……」

「会社からの給与以外に家賃収入が入ってきた。これって確定申告が必要なの?」

ご自身で勉強して不動産投資を始めた方とは異なり、相続などで「予期せずサラリーマン大家(不動産オーナー)になってしまった方」は、今、大きな不安の中にいるのではないでしょうか。

日々の業務が忙しい中、慣れない税金の知識を詰め込むのは至難の業です。

しかし、ここで目を背けてしまうと、本来払わなくていい高額な税金を納めることになったり、逆に申告漏れでペナルティを受けたりするリスクがあります。

特に「修繕費」の扱いは、多くの初心者が躓く最大の落とし穴です。

この記事では、国内トップクラスの不動産記事を執筆してきた筆者が、「成り行きで大家になった方が絶対に知っておくべき確定申告の注意点」をわかりやすく解説します。

これを読めば、領収書の山を前に途方に暮れることがなくなり、賢く確実に確定申告を乗り切る道筋が見えてくるはずです。

目次

サラリーマン大家の確定申告:相続・成り行き大家が陥りやすい罠

自ら望んで不動産投資を始めた方は、事前に節税スキームや法人化などを学んでいますが、相続で不動産を取得した方の多くは「準備不足」の状態でスタートラインに立たされています。

まず大前提として、会社員であっても「年間20万円を超える不動産所得(利益)」がある場合は、必ず確定申告が必要です。

ここで重要なのは、「家賃収入=所得」ではないということ。
「家賃収入 - 必要経費 = 不動産所得」です。

つまり、「いかに正しく経費を計上できるか」が、あなたの手元に残る現金を左右します。

【最重要】領収書の管理がすべての始まり

「後でまとめてやればいいや」と思っていませんか?
それが、確定申告直前にパニックになる一番の原因です。

まずは、領収書や関係書類の管理を徹底してください。

  • 固定資産税の通知書
  • 管理会社からの明細
  • 修繕工事の請求書・領収書
  • 物件確認に行った際の交通費の領収書
  • 不動産運用のために購入した書籍代

これらすべてが、あなたの税金を安くするための「武器」になります。
後になって慌てないよう、不動産経営に関わった事柄は「すべて保管しておく」ぐらいの気持ちでいてください。

たとえ経費になるか分からなくても、捨てずに専用のファイルに放り込んでおくだけで、後々あなたを助けることになります。

必要経費として認められるもの一覧

では、具体的に何が経費として認められるのでしょうか。
サラリーマン大家さんが計上できる主な経費は以下の通りです。

費目内容・注意点
租税公課固定資産税、不動産取得税、印紙税など。
損害保険料火災保険、地震保険など。長期契約の場合はその年の分のみ計上。
減価償却費建物の購入費用を耐用年数に応じて分割して計上する費用(現金の支出を伴わない重要な経費)。
借入金利子不動産の購入やリフォームに使ったローンの「利息部分」のみ(元金返済分は経費になりません)。
修繕費建物の維持管理や修理にかかった費用。
※ここに最大の注意点があります。
管理費・委託費管理会社へ支払う管理手数料や清掃費用など。

初心者が一番間違える「修繕費」と「資本的支出」の違い

今回の記事で、最もお伝えしたいポイントがここです。
リフォームや修理にかかったお金は、すべてその年の「修繕費(経費)」として一括で落とせると思っていませんか?

実は、それは間違いです。

工事の内容によっては「資本的支出」とみなされ、その年に全額を経費にできない(数年かけて減価償却しなければならない)ケースがあります。

修繕費として認められるケース

その年の経費として一括計上できるのは、あくまで「通常の維持管理」「原状回復(壊れたものを元に戻す)」ための支出です。

  • 入居者退去後の壁紙の張り替え(原状回復)
  • 割れた窓ガラスの交換
  • 雨漏りの修理
  • 給湯器の故障による同等品への交換

資本的支出(資産計上)になるケース

一方で、「資産価値を高める」「使用可能期間を延長させる」ためのリフォームは、資本的支出として扱われます。

  • 和室を洋室にリノベーションする
  • 通常のキッチンをシステムキッチンにグレードアップする
  • 避難階段を新しく取り付ける
  • 耐久性の高い高級な塗料で外壁塗装を行う

これらは「修繕費」としては認められず、「取得価額」に加算して、減価償却によって数年〜数十年かけて少しずつ費用化していくことになります。

ここが運命の分かれ道

「今年は利益が出すぎたから、大規模リフォームをして経費で相殺しよう!」と考えて実施しても、それが資本的支出とみなされれば、その年の経費にはほとんどならず、高い税金を払うことになる可能性があります。

この判断は非常に専門的で、税務調査でも頻繁に指摘されるポイントです。
判断に迷うような大きな工事を行う際は、施工前に税理士へ相談することを強くおすすめします。

忙しいサラリーマン大家が取るべき「次の一手」

ここまで、サラリーマン大家さんが注意すべき確定申告のポイントについて解説してきました。

  1. 領収書・関係書類は迷わずすべて保管する。
  2. ローンの元金返済は経費にならない(利息のみ)。
  3. リフォーム代は内容によって「修繕費」と「資本的支出」に分かれる。

「正直、仕事が忙しくてそこまで細かく管理できない……」
「修繕費かどうかの判断なんて、自分では無理だ……」

そう感じた方も多いのではないでしょうか。
しかし、申告期限は待ってくれません。不慣れなまま適当に申告をして、後から税務署の調査が入るリスクを背負うのは、精神衛生上よくありません。

まずは、ご自身の状況を整理し、「自分で会計ソフトを使ってやる」のか、「プロ(税理士)に丸投げして本業に集中する」のかを決めることが、最初の一歩です。

相続による不動産経営は「棚から牡丹餅」に見えるかもしれませんが、適切な管理ができなければ「重荷」になってしまいます。
正しい知識とツールを活用し、大切な資産を守り抜きましょう。

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この記事を書いた人

会社員時代に副業でWebライターを開始し、開業届の提出から青色申告への切り替えまでを独学で完遂。「会社にバレない申告方法」や「副業ならではの経費計上」の実践研究が得意。現在は専業フリーランスとして活動中。難しい専門用語を使わず、初心者でも今日から使える申告術をわかりやすく解説します。

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