会社員のまま副業を始めた最初の確定申告で夜中に絶望しました。副業会社員のリアルをここに書きます。さらに会社員を卒業して専業フリーランス4年目になってから、最大の落とし穴は確定申告ではなく「社会保険まわり」でした。会社員時代は給与から自動で天引きされていたものが、独立した瞬間に「自分で全部組み立てる」必要があります。当時の私が欲しかった情報がなぜかどこにもなかったので、独学で何ヶ月もかけて調べた結果を、副業会社員からフリーランス4年目までの順で全部書きます。
私は税理士・社労士・FPなどの資格保有者ではありません。本記事は独学4年目の当事者の経験談と、国税庁・日本年金機構・各市区町村の公表情報の突合です。個別の税務・社会保険判断は必ず税理士・税務署・年金事務所・市区町村窓口にご相談ください。
1. まず最初に整理:会社員と個人事業主の社会保険の違い
会社員時代は「厚生年金+健康保険組合」の二本柱で、しかも保険料は会社が半分負担してくれていました。個人事業主になると、原則として「国民年金+国民健康保険」に切り替わり、保険料はすべて自分持ちです。年金は会社員時代より保障が薄くなり、医療費は3割負担で同じですが、健康保険組合の手厚い付加給付がなくなります。当時の私が欲しかったのは、この当たり前の差分を最初に並べてくれる文章でした。
項目 会社員(厚生年金+健康保険) 個人事業主(国民年金+国保) 年金 国民年金+厚生年金(2階建て) 国民年金のみ(1階建て) 医療保険 健康保険組合または協会けんぽ 国民健康保険(市区町村運営) 保険料負担 会社が半分負担 全額自己負担 傷病手当金 あり(休業時の所得保障) 原則なし 出産手当金 あり 原則なし 扶養家族 保険料負担なしで扶養可 扶養概念なし(家族も別契約)
日本年金機構の解説によれば、20歳以上60歳未満の日本国内に住所がある人は国民年金の被保険者となり、職業や雇用形態によって第1号〜第3号に区分されます。個人事業主は原則として第1号被保険者です(2026年5月閲覧)。
2. 副業会社員のあいだは社会保険を切り替えない(最重要)
副業会社員のリアルを書きます。会社員のまま副業所得がいくら増えても、社会保険は「会社の厚生年金+健康保険」のまま動かしません。副業所得が20万を超えて開業届を出した私自身、最初は「個人事業主になったから国民年金に変えるのか?」と迷いました。答えは「会社員のあいだは変えない、変えられない」です。本業の雇用主が厚生年金・健康保険を負担している以上、副業の事業所得はそこに影響しません。
当時の私が欲しかった注意点は「住民税の納付方法は注意」ということでした。副業所得は確定申告で住民税が計算されますが、特別徴収(会社の給与天引き)にすると会社に副業バレする可能性があります。確定申告書の住民税の納付方法欄で「自分で納付(普通徴収)」を選ぶ、というのが独学で何ヶ月もかけて辿り着いた答えでした。これは社会保険ではなく住民税の話なので、混同しないように整理しておきます。
3. フリーランス独立直後の選択肢:任意継続 vs 国民健康保険
会社員を辞めてフリーランスになる瞬間、健康保険には2つの選択肢があります。①任意継続:会社員時代の健康保険を最大2年継続できる制度、②国民健康保険:市区町村が運営する保険に切り替える、です。独学で何ヶ月もかけて調べた結果、私は最初の1年だけ任意継続を選びました。理由は、退職前12か月の標準報酬月額をベースに保険料が決まる任意継続のほうが、退職直後は国保より安くなるケースが多いから、というのが現場感覚です。
任意継続は退職から20日以内に申請が必要で、これを逃すと選択肢が国保しかなくなります。私は退職日が決まった瞬間に協会けんぽの窓口に連絡を入れて、必要書類を準備しました。任意継続を選んだ1年目で家計が安定したあと、2年目は国保に切り替えるかどうかを所得シミュレーションで判断しました。「会社員時代の延長で何となく続ける」ではなく、毎年6月の国保保険料通知書と任意継続の保険料を並べて比較するのが、独学で身についた習慣です。
4. 国民健康保険料は前年所得で決まる:独立2年目の罠
独学で何ヶ月もかけて調べたフリーランス4年目の現場感覚で、最も詰まった落とし穴は「国保保険料は前年所得で決まる」という事実でした。独立1年目(会社員所得が残っている年)の確定申告が終わると、その所得を基準に2年目の国保保険料が計算されます。会社員時代の所得が高い人ほど、独立2年目の国保保険料が一気に重くなる仕組みです。
私の場合、独立2年目に国保保険料の通知書を見て「これは任意継続の方が安かった」と気づきました。任意継続は退職前所得で固定(上限あり)、国保は所得連動。会社員時代の年収が高かった人ほど、最初の2年は任意継続を貫いたほうが有利、というのが現場で見えた現実です。当時の私が欲しかった情報は、まさにこの「2年目の国保ショック」の予告でした。
5. 国民年金基金とiDeCo:個人事業主の2階建てを自分で作る
個人事業主の年金は1階建て(国民年金のみ)です。会社員時代に当たり前にあった2階建ての「厚生年金」がなくなる代わりに、個人事業主には「国民年金基金」と「iDeCo(個人型確定拠出年金)」という2つの上乗せ制度が用意されています。私はフリーランス2年目からiDeCoの掛金月額を最大近くまで引き上げ、節税と将来の年金準備を同時に組み立てました。
国民年金基金連合会の解説によれば、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除として所得控除の対象になります(2026年5月閲覧)。個人事業主は会社員(月23,000円上限)と異なり、月68,000円が上限です(国民年金基金との合計)。
freee と マネーフォワードを両方使ってみてわかったのは、確定申告書の小規模企業共済等掛金控除欄にiDeCo掛金を反映するだけで、所得税・住民税が想像以上に減る、という事実でした。所得が安定してきたフリーランス3年目以降は、iDeCoと小規模企業共済(後述)の併用が、現実的な節税+老後準備の主軸になります。
6. 小規模企業共済:個人事業主の退職金代わり
個人事業主には「退職金」がありません。代わりに、独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営する「小規模企業共済」を使うことができます。月額1,000円〜70,000円の範囲で掛金を設定でき、全額が所得控除の対象。事業を廃業する・引退するタイミングで一時金または分割で受け取れる仕組みです。フリーランス4年目の私は、iDeCo(月68,000円)と小規模企業共済(月30,000円)の併用で、節税効果を最大化しています。
中小企業庁の解説によれば、小規模企業共済は個人事業主・小規模法人役員のための退職金準備制度であり、掛金は全額所得控除、受取時も退職所得または公的年金等控除の対象となります(2026年5月閲覧)。
7. 家族の扶養:個人事業主にも「扶養」はあるのか
当時の私が一番混乱したのが「扶養」の概念でした。会社員時代の健康保険は配偶者・子を扶養家族として保険料0円で加入できましたが、国民健康保険にはこの「扶養」の概念がありません。家族全員がそれぞれ被保険者で、世帯主にまとめて請求が来る形です。配偶者がパートで働いている場合、年収130万円の壁(社会保険の扶養基準)は会社員配偶者がいる場合の話で、フリーランス世帯では基本的に関係なくなります。
所得税の扶養(配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除)と社会保険の扶養は別物です。所得税の扶養は引き続き使えるので、配偶者控除・配偶者特別控除は確定申告で活用できます。独学で何ヶ月もかかって調べた中で、税務上の扶養と社会保険上の扶養を別整理する習慣をつけてからは、freeeで確定申告するときの迷いがなくなりました。
8. 法人化(マイクロ法人)で社会保険を最適化する選択肢
所得が安定してきたフリーランスが検討する「法人化」は、税金面のメリット(法人税率と所得税の比較)以上に、社会保険の選択肢が広がるのが大きな要素です。マイクロ法人を立ち上げて自分を役員にすると、再び厚生年金+健康保険組合の世界に戻ることができます。ただし役員報酬の設計次第で社会保険料が増えるリスクもあり、法人税申告は個人の確定申告より複雑になります。
私自身、フリーランス4年目の現時点ではまだ個人事業のまま続けています。理由は、所得規模が法人化メリットの分岐点に届いていないのと、法人化後の事務負担が独学では追いつかないと判断したからです。法人化を検討する所得規模になったら、これだけは税理士に相談するつもりです。
9. まとめ:個人事業主の社会保険チェックリスト
副業会社員からフリーランス4年目までに独学で身についたチェックリストを残します。①副業会社員のあいだは社会保険を切り替えない、②独立時に任意継続 vs 国保のシミュレーションを必ず実施、③独立2年目の国保ショックを予告として持っておく、④iDeCoは月68,000円上限を活用、⑤小規模企業共済の併用で退職金準備、⑥税務上の扶養と社会保険上の扶養を別整理、⑦所得が安定したら法人化を税理士と検討。
個別の判断は必ず税理士・税務署・年金事務所・市区町村窓口にご相談ください。本記事は独学で何ヶ月もかかった当事者の経験記録です。
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